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神戸地方裁判所 昭和31年(ワ)140号 判決

原告 山陽商事株式会社

被告 高橋堅三 外一名

主文

被告高橋堅三は原告に対し金六十四万六千円及びこれに対する昭和三十年七月七日以降右支払済に至る迄年六分の割合による金員を支払ねばならぬ。

原告の被告高橋堅三に対するその余の請求及び被告高橋甚吉に対する請求は棄却する。

訴訟費用中原告と被告高橋堅三との間に生じた分はこれを二分し、その一を原告の負担その余を被告高橋堅三の負担とし、原告と被告高橋甚吉との間に生じた分は原告の負担とする。

此の判決は主文第一項に限り原告において被告高橋堅三に対し金二十万円の担保を供するときは仮りに執行することができる。

事実

原告訴訟代理人等は「被告等は連帯して原告に対し金百八万四千四百円及びこれに対する昭和三十年七月七日以降右支払済に至る迄年六分の割合による金員を支払はねばならぬ。訴訟費用は被告等の連帯負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求めその請求原因として、

原告はセメント等販売業を営む会社であり、被告高橋堅三は昭和二十九年九月一日付を以て原告会社に差入れた別紙差入書の契約条項によつて原告会社のためにセメント販売業務に従事して来たものであり、又被告高橋甚吉は前同日被告堅三が右契約関係に基因し将来原告会社に対し負担することあるべき債務について連帯保証の責に任じたものである。しかるに被告堅三の取扱にかかる別紙債権表に記載の(1)乃至(9)のセメント売掛代金は原告会社においてこれを各買主に請求するもその支払を受けることができないものであるところ、前記差入書の契約条項において、「前項各項に基き販売したる代金回収期日に至りて万一回収不能を生じたる際は拙者(被告堅三)責任を負担し直に支弁解決なし貴会社に御損害を御掛申間敷候事」と定め又第八項を以て「以上各項の一にても違背して御損害を及ぼしたる際は御請求により直に損害賠償支払の責に任じ申すべく候事」と定めているところにより、被告等は連帯して原告に対し右未回収債権合計金百八万九千円に相当する金員支払うべきであるが、一方原告会社は被告堅三に返還すべき預り金四千六百円の債務を負担していたから昭和三十年七月一日当事者間の合意により右対等額について相殺をした。よつて被告等に対して右相殺額を控除した残金百八万四千四百円及びこれに対する昭和三十年七月七日以降右支払済に至る迄年六分の割合による損害金の連帯支払を求める。

尚労働基準法の適用に関し、被告堅三は原告に対し右差入書の契約条項によつて労務の提供を約したのであるが、その第一項に「拙者(被告堅三)は何等貴会社員たる資格を有せず単に貴会社販売の「ノザワセメント」の販売のみに従事するものに候事」とあるは被告堅三が原告会社のセメント販売業務に従事することの外に別に本業又は兼業を営むことを禁止する趣旨ではなくて、単に同被告が原告会社の販売にかかる「ノザワセメント」だけの販売を取扱い他のセメントを販売しないことの趣旨であり、又被告堅三は右労務提供契約に基づいて毎日原告会社に出勤する必要のないことは勿論販売責任額の定めもなく、又その販売先の選択についても何等の制約を受けないのであつて、要するに原告は同被告のセメント販売活動について日常指揮命令したことは全くなく、単に販売価格並に取引方法の決定について原告会社の承認を受けしめることとしたに止まり、その余は全く同人の自由に放任していたのであるから被告堅三はいわゆる従属的使用関係に服したものではなく従つてこれについて労働基準法の適用はない。

仮りに右使用関係について労働基準法が適用され前記契約条項に基づく原告の請求が許されぬとしても原告は予備的に次の請求をする。即ち

(一)  原告は被告堅三の取扱にかかる別紙債権表記載の各取引につき前記差入書の約定とは別にその都度暗黙のうちに又は口頭で以て個別的に右売掛代金の集金事務を委任していたところ、被告堅三は右委任に基づき別紙債権表記載のうち(4)の売掛代金十二万六千円は昭和二十九年末頃、(6)の売掛代金二十四万円は昭和三十年二月末頃、(7)の売掛代金十六万円は同年三月末又は四月末頃、(8)の売掛代金十二万円は同年五月頃、(9)の売掛代金十二万円は同年三月頃いずれも各販売先から原告のために集金受領したが、そのうち(4)につき内金十二万円を原告に入金したのみで爾余の計六十四万六千円はまだ之を入金しない。よつて被告堅三は受任者の義務として各買主から集金した右金六十四万六千円を原告に支払うべき義務があり、又被告甚吉は既にのべている如く被告堅三が「これら販売に当つて原告に対し負担した債務につき連帯保証している」から被告堅三と連帯して右金員を支払うべき義務がある。

(二)  又被告堅三は昭和三十年七月一日原告に差入れた誓約書により前記集金した代金を除く別紙債権表(1)、(2)、(3)、(5)の売掛代金計四十四万三千円を同年七月六日迄に分割支払うべき旨約して各買主の右代金債務を重畳的に引受けたところ、原告は同日被告堅三に返還すべき預り金四千六百円の債務と対等額で相殺した。従つて被告堅三は原告に対し右相殺額を控除した残金四十三万八千四百円を支払う義務がある。

よつて原告は予備的に被告堅三に対しては右(一)(二)の義務履行として合計金百八万四千四百円、被告甚吉に対しては被告堅三の右受任義務履行の連帯保証人として金六十四万六千円及び右各金員に対する昭和三十年七月七日以降右支払済に至る迄年六分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めると述べた。

立証として甲第一、二号証を提出し証人福永繁の証言を援用した。

被告高橋堅三は請求棄却の判決を求め答弁として、原告の主張事実中原告がセメント等販売業を営む会社であること、被告堅三が原告会社に差入れた別紙差入書の契約条項によつて原告会社のためにセメント販売業務に従事していたこと、被告堅三の取扱にかかる別紙債権表記載のセメント売掛代金は原告会社においてその支払を受けていないこと、被告堅三が原告より個別的に暗黙の委任を受け原告主張の通り別紙債権表記載の売掛代金中(4)、(6)乃至(9)の代金を各買主から集金し内金十二万円は原告に入金したがその余の入金をしていないことはいずれも之を認めるが、別紙債権表記載の(1)(2)(3)(5)の各買主の代金債務を重畳的に引受けたことは争う、被告堅三は原告主張の契約条項に基き自ら任意選択した買主と取引の下交渉をなし売買の下話が成立した時は原告会社にその旨報告し、原告において買主の信用状態等を調査の上取引の決定をなしていたものであつて右調査の結果によつては取引を拒否していたものである。尚被告堅三は原告会社のセメント販売に際し一袋につき五円乃至八円の範囲内でその都度報酬金額の支給を受けていたものであると述べ、甲号各証の成立を認めた。

被告甚吉は適式な呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず且つ答弁書その他の準備書面を提出しなかつた。

尚当裁判所は職権で被告堅三の本人尋問をなした。

理由

原告がセメント販売業を営む会社であること、被告堅三が昭和二十九年九月一日付を以て原告会社に差入れた別紙差入書の契約条項によつて原告会社のためにセメント販売業務に従事していたこと、被告堅三の取扱にかかる別紙債権表記載の(1)乃至(9)のセメント売掛代金は原告会社においてその支払を受けていないことはいずれも原告と被告堅三間に争ない。

原告は第一次的請求として被告堅三は別紙差入書の契約条項第四項第八項所定の損害賠償額を予定する契約に従つて右未回収売掛代金相当額を原告に支払うべき義務があると主張するが、凡そ使用者は労働契約を以て損害賠償額を予定する契約をしてはならぬことは労働基準法第十六条の明定するところであつて、右は同法第一条に掲げられた「労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない」との根本理念を全うするために設けられた強行法規であると解さねばならぬ。従つて別紙差入書の契約条項に基く原告会社と被告堅三間の使用関係が、労働基準法の適用を受けるものである限りは右契約条項に基づく原告の請求は強行法規に反し失当であるとせねばならぬ。

そこで原告会社と被告堅三間の使用関係についてみるに成立に争ない甲第一号証、証人福永繁の証言の一部、被告本人尋問の結果を綜合すると、被告堅三はかねてセメント販売の経験を有していたところ、偶々昭和二十九年八月頃からセメント販売業務を始めた原告会社に同年九月一日付で別紙差入書を差入れ爾来原告会社のセメント販売業務のみに従事し他に自己固有の本業又は兼業はこれを有していなかつたこと、右による被告堅三取扱にかかるセメントの販売方法は、同被告において任意買主を探索して取引の交渉をなし予め定められている条件に従つて売買の下話が成立したときはこれを原告会社に報告し、原告において右買主の信用状態等を一応調査して最終的決定をなし、右調査の結果によつては取引を拒否していたこと、右取引について被告堅三は販買価格、取引方法の決定権を有せず、これ等はすべて原告会社に留保せられていたこと、右取引はすべて原告会社と相手方との直接の取引であつて原告会社のみが代金の請求受領の権利を有し、被告堅三は取引数量に応じて原告会社より一屯につき百円前後の報酬を受ける以外に自己固有の権利乃至利益を取得し得なかつたことが認められ右認定に反する証人福永繁の証言は信用し難い。ところで右認定の事実よりすれば原告と被告堅三間の使用関係は原告会社が被告堅三の提供する労務自体を自己の支配内に採入れて利用することを目的とする従属的使用関係であつて結局出来高払制による雇傭の一型態に属するものと解するを相当とする蓋し被告堅三の活動内容は原告会社のセメント販売業務の遂行を全うせしめる為にその販売先を探索して取引の交渉をなし、売買の下話が成立したときはいちいちこれを原告会社に報告することに止まり、それ以上に原告会社の為に自己の自由なる判断と責任において売買取引をする独自の権原は全くないのみならず、取引の結果原告会社より一定割合による報酬を受ける以外に自己固有の権利乃至利益は何等取得し得ないのであつて、所謂代理商等の場合におけるように原告会社と対等の関係に立ち独立の権原に基づいて原告会社のためにセメント販売活動に従事したものでないことは勿論、業務の性質上特別に高度の専門的技能と自由活動にまたねばならぬ為に当然に使用者の指揮命令に親まぬものと考えられる委任請負等の非従属的使用関係にあるものでもないからである。

尤も原告は別紙差入書の契約条項第一項にいわゆる『「ノザワセメント」の販売のみに従事する』とあるのは「ノザワセメント」のみの販売に従事することの趣旨であつて被告堅三が他に本業又は兼業を有し非従属的使用関係にあることを妨げぬと主張するけれども一般的に云つて他に本業又は兼業を許すことが直に従属的使用関係を否定する論拠にならぬことは所謂パートタイム制の雇傭関係を引合に出して論じる迄もないことであるに加え前記契約条項の文理解釈としてはむしろ被告堅三が他に本業又は兼業を有することを禁止する趣旨であると解するを相当とするし且又これに加えて実際においても被告堅三は原告会社のセメント販売業務にのみ専従し他に本業又は兼業を有しなかつた事実関係である以上はかかる契約文言の形式的論議を以て未だ前記の認定を左右することはできぬ。尚又原告は右使用関係において被告堅三は原告会社に出勤する必要のないのは勿論、販売すべきセメントの責任額及び販売先の制約は一切受けず、販売価格並びに取引方法の決定を除いては同被告の自由に放任していたから従属的使用関係でないと主張するが、凡そ物品販売というが如き一般的業務において該営業の成否を左右するとも云うべき最も重要な販売価格並に取引方法の決定については勿論のこと、個々の取引をするか否かの最終的決定権をすべて原告会社に留保してその余の補助的労務―注文取り―にのみ従事せしめていたことが上述した通りである以上は、かかる部面における日常の指揮命令がどの程度になされていたか、或は全くなされていなかつたかに論なく、それ自体従属的使用関係であるとせねばならぬ。蓋しかかる問題は企業毎に異るべき営業組織と営業政策によつて決定されるであろうが、少なくとも販売価格、並に取引方法の決定について最終的には使用者の指揮命令に従わねばならぬ従属的使用関係の本質に触れるところはないからである。

してみると原告会社と被告堅三間の使用関係について労働基準法の適用があることは明であつて別紙差入書の契約条項第四項第八項に所定の損害賠償額を予定する契約は強行法規に反し無効と云うべく、従つて右契約条項に基き被告堅三及びこれが連帯保証人であるとして被告甚吉両名に対し右賠償額の支払を求める原告の請求は失当である。

そこで次に原告の予備的請求について判断するに、被告堅三が同被告取扱にかかる別紙債権表記載の各取引につき前記差入書の条項とは別にその都度個別的に原告より暗黙のうちに集金事務の委任を受け、別紙債権表(4)の売掛代金十二万六千円は昭和二十九年末頃、(6)の売掛代金二十四万円は昭和三十年二月末頃、(7)の売掛代金十六万円は同年三月末又は四月末頃、(8)の売掛代金十二万円は同年五月頃、(9)の売掛代金十二万円は同年三月頃いずれも各買主から集金受領したこと、右のうち(4)の集金代金中内金十二万円を原告会社に入金したのみで爾余の集金代金計六十四万六千円は未だ之を原告会社に入金していないことは原告、被告堅三間に争ない。してみれば被告堅三は原告に対し右受任者の義務履行として各買主から集金受領した金六十四万六千円及びこれに対する右集金受領した後であることの明らかな昭和三十年七月七日以降右支払済に至る迄商法所定の年六分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。

次に原告は被告甚吉に対し被告甚吉は被告堅三がこれら販売に当つて原告に対し負担した債務につき連帯保証したことを原因として被告堅三の前記各買主から集金受領した金員の連帯支払を求めているけれども被告甚吉の右連帯保証なるものは被告堅三の別紙差入書の契約条項に基くセメント販売行為それ自体に基因して負担すべき債務を保証するに止まり原告の主張するような個別的な委任契約を前提とするものでないことはその主張自体から明らかであるから右委任契約に起因して被告堅三が負担する債務について被告甚吉に対して連帯支払を求める原告の請求はそれ自体失当である。

更に原告は「被告堅三は昭和三十年七月一日原告に差入れた誓約書により別紙債権表(1)、(2)、(3)、(5)記載の各買主の売掛代金債務計四十四万三千円を重畳的に引受けその支払を約したからこれが履行を求める」と主張するが右事実を認定するに足る証拠はない。尤も成立に争ない甲第二号証の誓約書によれば「拙者儀貴社に御支払すべき品代金の中金壱百八万四千四百円也に対し延引の段誠に申訳けありません。此の返済に付きまして責任を以て来る七月六日迄に分割支払に依り同日迄に必ず完済します。云々、」との記載があり、右百八万四千四百円中には別紙債権表(1)、(2)、(3)、(5)記載の売掛代金が含まれていることは弁論の全趣旨より推認できるけれども、右記載の文言のみからは被告堅三が原告に対し各買主の売掛代金債務を重畳的に引受けたものとは解し難く、却つて右記載の文言に成立に争ない甲第一号証、証人福永繁の証言、被告堅三本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を綜合すると、原告会社は昭和三十年七月一日当時、被告堅三取扱にかかる別紙債権表記載の売掛代金が回収出来なかつたので、上述の如くそれ自体無効な契約である別紙差入書第四項、第八項所定の契約条項によつて被告堅三にその支払の責任あるものとし、これを確認させる意味で右誓約書を差入れさせたことが認められ他に右認定を覆すに足る証拠はない。してみれば原告の被告堅三に対する右請求も亦失当である。

よつて原告の本訴請求中被告堅三に対し代金取立の委任義務の履行として金六十四万六千円及びこれに対する昭和三十年七月七日以降年六分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は正当であるからこれを認容し、被告堅三に対するその余の請求及び被告甚吉に対する請求はいずれも失当であるからこれを棄却し、訴訟費用につき民事訴訟法第八十九条、第九十二条本文を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条第一項を各適用して主文の通り判決する。

(裁判官 河野春吉 金末和雄 後藤勇)

(別紙)

差入書

今般貴会社ノ販売ニ係ル「ノザワセメント」ヲ左記各項ノ条件ニ基キ販売致スベキ候事

第一項 拙者ハ何等貴会社員タル資格ヲ有セズ単ニ貴会社販売ノ「ノザワセメント」ノ販売ノミニ従事スルモノニ候事

第二項 販売ニ当リ販売価格及取引方法ニ付テハ貴会社ノ御承認ヲ得タル上之ヲ行フベキ候事

第三項 取引ハ総テ貴会社対相手方ノ取引トナシ品代金ノ請求並ニ受領ハ一切貴会社直接ニ御取扱ヲセラレ度候事

第四項 前項各項ニ基キ販売シタル代金回収期日ニ至リテ万一回収不能ヲ生ジタル際ハ拙者責任ヲ負担シ直ニ支弁解決ヲナシ貴会社ニ御損害ヲ相掛ケ申ス間敷候事

第五項 貴会社ヨリ拙者ガ受クル販売手数料ハ其ノ都度額ヲ協定シタル上其ノ販売代金ガ完収シタル際貴会社ヨリ御支払ヲ受クル約定ニ候事

第六項 前項各項以外ノモノニシテ特ニ貴会社ノ御承認ニヨリ契約シテ販売シタル品代金ニ対シテハ理由ノ如何ヲ問ハズ確約シタル支払期日ニ全責任ヲ負ヒ貴会社ニ対シ直ニ御支払致スベキ候事

第七項 前項各項ニ基キ販売シタルモノニ対シ、納入ガ貴会社ノ責任ニ非ラザル理由ニヨリ納入不可能トナリタル場合之ニヨリ生ジタル運賃及其ノ他ノ諸経費ニ対シテハ拙者責任ヲ以テ解決シ、貴会社ニ御損害ヲ相掛ケ申ス間敷候事

第八項 以上各項ノ一ニテモ違背シテ御損害ヲ及ボシタル際ハ御請求ニヨリ直ニ損害賠償支払ノ責ニ任ジ申スベキ候事

以上確約履行致スベキ候ニ付キ後日ノ為保証人相連帯シテ本差入書差入レニ及ビ候也

昭和二十九年九月一日

姫路市新在家三六二ノ一

本人 高橋堅三〈印〉

明石市大久保町大久保七〇七

保証人 高橋甚吉〈印〉

神戸市兵庫区福原町八九

山陽商事株式会社

取締役社長 牛尾健治殿

債権表

(1) 昭和二十九年十月十日姫路市嵐山町十一松原彌之助商店に同月末日支払いを受ける定めで代金二十五万二千円相当のセメント六百袋を売渡したが、原告は昭和三十年一月十六日迄の間に数回に亘り内金十一万二千円の支払いを受けただけで残額金十四万円

(2) 同年十一月三十日豊中市服部四一三浪速興業株式会社に昭和三十年二月五日支払いを受ける定めで代金二十四万円相当のセメント六百袋を売渡したが、原告は昭和三十年二月十六日内金十万円の支払いを受けただけで残額金十四万円

(3) 昭和二十九年十二月二十日印南郡大塩町井川清市に昭和三十年三月五日支払いを受ける定めで代金八万円相当のセメント二百袋を売渡したが右代金八万円

(4) 昭和二十九年十二月二十日奈良県吉野郡黒滝村平岩彌一郎に昭和三十年一月末日支払いを受ける定めで代金十二万六千円相当のセメント三百袋を売渡したが、原告は昭和三十年三月一日内金十二万円の支払いを受けただけで残額金六千円

(5) 昭和二十九年十二月二十三日大阪市福島区上福島中三丁目吉川産業株式会社に昭和三十年一月末及び二月末の二回に分割して支払いを受ける定めで代金八万三千円相当のセメント二百袋を売渡したが右代金八万三千円

(6) 昭和三十年二月十二日大阪市天王寺区下寺町四丁目株式会社同和建築に同年二月末日(当初は現金取引の約束であつたが変更された)支払いを受ける定めで代金二十四万円相当のセメント六百袋を売渡したが右代金二十四万円

(7) 昭和三十年三月一日大阪市西区立売堀北通二丁目間口建設工業株式会社に同年三月末及び四月末の二回に分割して支払いを受ける定めで代金十六万円相当のセメント四百袋を売渡したが、右代金十六万円

(8) 昭和三十年三月十五日大阪市北区北同心町一丁目清水金属株式会社に同年五月十四日支払いを受ける定めで代金十二万円相当のセメント三百袋を売渡したが、右代金十二万円

(9) 昭和三十年三月二日茨木市下十条三三八の二、山本松治商店に同年四月末に支払いを受ける定めで代金十二万円相当のセメント三百袋を売渡したが、右代金十二万円 以上

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